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組織培養の利用

組織培養は、お医者さんが菌を培養するために考えた方法で、これを種子が粉のように小さいラン科植物の種播きに利用したのが農業分野での始まりです 。 その後、生長点培養によるウィルスフリー苗の育成、コチョウランの葉を利用して大量生産するメリクロン、人口種子、半数体利用による育種の効率化、細胞融合による新しい植物づくり等だんだん難しい分野になりましたが、バブル崩壊で頓挫してしまった感があります。
定年退職後の20年計画で、派手でグロテスクでない、楚々として魅せられる、香りの素晴らしい日本のユリづくりを目標にした時、開花までの期間をなるべく短くするため、培養室をつくることにしました。
使用する基本培地は、MS培地。IAA0.3ppm、糖濃度は三温糖333g/4ℓ、pH5.8です。
培養室は、12時間照明。冬は20℃、夏は25℃を除湿機能で設定しています。
1) 無菌播種による球根養生
 種子の滅菌はピューラックスを使用。70%消毒用アルコール5分間、次亜塩素酸ソーダ2%(ピューラックスを3倍に薄める)で、20分間マグネットスターラーで撹拌しながら滅菌します。滅菌水では洗浄せず、そのまま置床します。小さい気泡が種子の周囲に発生しますが、発芽には影響はないようです。
容器はワンカップのビン(@20円)、フィルムはTPXフィルムを10㎝角に切り、輪ゴムでとめます。
培地を作る時は、4ℓ入ホーロービーカー3本、一本で80本のビンができます。(一本50cc)
オートクレープは120℃、20分間で、一度に80本滅菌します。
A.Hyb系のものは、種子も小さいものが多く、1~2ヶ月でよく発芽します。
 ア)未熟種子の無菌播種
交配して70~90日の未熟種子を使うとすぐ発芽してきます。
種子は淡い緑色で厚さ1mmくらいの板状、白い棒状の胚が見えます。朔から種子を一つづつにするのに手間がかかりますが、これで開花までの期間を1年短縮できます。
 イ)完熟種子の無菌播種
未熟種子では種子の保存ができないので、完熟種子でも播きます。
胚にそって種皮と胚乳の一部をハサミで胚を傷つけないように切ってから滅菌します。完熟すると胚乳が硬く、なかなか水分をすって柔らかくなりません。胚乳を切ると2ヶ月くらいで発芽が始まります。下の写真は切り方の参考で、左から3枚が岐阜県産ササユリ、次の3枚が和歌山県産イズユリの種子です。
最初の培養期間は8~9ヶ月、10ヶ月を過ぎると輪ゴムが劣化してゆるくなりカビが出やすくなります。以前は3~4ヶ月で継代していましたが、1粒の種子が2~3個から10数個にまで分球することがわかり、手間と経費の節約になり、8~9ヶ月で継代しています。かたまりのまま一度継代し、3~4ヶ月後に1球づつに分け個体別に番号を付け継代します。
冬の間に袋播きした場合、秋に小球が出来ますが、この時小球は米粒くらいの大きさで1球だけです。
土に植え出した時に茎立ちする大きさまで継代を繰り返します。目安は播種後2年くらいです。
上の写真は左からニオイユリselfの後×野上町生育優良個体、〔(ルレーブ×ササ選抜個体№3)×ササ〕×岐阜 、03-1×奈良、03-1×奈良を分球したもの、で一粒の種子から小球がたくさん出ている様子です。5番目は 培養室の状況です。
2) 葯培養によるウイルスフリー株の増殖について
  昭和40年代、半数体育成の研究が進みました。 当初イネとタバコで成功し育種期間が8年かかっていたものが1年8ヵ月で完成させる事ができたのです。花粉から植物体をつくる事で遺伝子が半分になり、これをコルヒチン処理で培化する事により遺伝子が単純になる事で目的とする形質を持った植物体を選抜出来たのです。 この研究の副産物として、葯培養で半数体は出来なかったのですが、ウイルスフリー株がクローン増殖する事がわかりました。
神奈川県の平塚市にあった国の試験場でイチゴの葯培養に取り組み、研究目的は失敗したがウイルスフリー株になっていたのです。考えてみれば花は生長点の終点のようなもので、オシベやメシベから器管分化すれば生長点培養と同じ効果が出るのかもしれません。 (大沢勝次氏のイチゴの葯培養の研究)
私がユリの葯培養をする場合、選抜した個体のウイルスフリー株の増殖が目的です。ユリにウイルス病はつきもので、古い品種は消えてゆきます。園芸品種の保存にはウイルスフリー化の技術が必要です。
培地は、1/2MS、BA(ベンジルアデニン別名ベンジルアミノプリン) 3ppm、三温糖30g/ℓ、pH5.8です。BAを溶かす時は塩酸を使っていましたが、培養液のpH調整に苦労するので、蒸留水にBAを入れ超音波洗浄機を使って溶かしています。。
もう一つ重要なことがあります。半数体育成を目的とした葯培養には、花粉の分裂のステージが花粉母細胞から四分子の時までのものを使います。ヤマユリの場合は蕾が2㎝くらいで、葯を折ってみると淡い黄緑がかったクリーム状の液が出る時が目安です。これを過ぎた蕾を使って葯培養しても、メシベ、オシベが大きくなって球根は出来ません。一本のビンに蕾一個分の6個のオシベと1個のメシベを入れます。


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